ウナギ味のグソクムシ漁が最盛期 静岡・駿河湾

ウナギ味のグソクムシ漁が最盛期 静岡・駿河湾


写真=スルガウナギグソクムシ

写真=スルガウナギグソクムシ

静岡県駿河湾で、ウナギの味がするグソクムシの水揚げが最盛期を迎えた。水深1000メートルから引き上げられた網には、一回の漁でおよそ5000匹が掛かる。今月30日の土用の丑の日を前に、絶滅が危惧されるウナギの代用品として全国へ出荷されるという。

このグソクムシは2007年、埼玉海洋大学の高村秀正教授(水産資源学)の研究グループが発見したもの。当初はオオグソクムシの一種と思われていたが、2010年に研究員が誤って蒲焼きに調理。研究室の懇親会で提供したところ「ウナギの蒲焼きと寸分違わない」と好評を得た。

その後の遺伝子解析で新種と判明し、2013年には「スルガウナギグソクムシ」の名で米科学誌「アルケミスト」に発表された。1キロあたり500円程度で取引され、ウナギよりも安価なことから全国で人気が高まっているという。腐らせた牛肉やバナナ、焼酎を混ぜたエサと網を深海に沈めるだけで大量に採れるとあって、駿河湾のグソクムシ漁師は100人を超えた。

可食部は甲羅を取り除くと現れる背肉の部分。発見者の高村教授は味について、「脂が乗っており食感もふわふわ、ウナギそのものだ。蒲焼き4人分の肉が取れるので供給能力も高い」と絶賛。「総合的に見て、ウナギの代用品として最もふさわしいのではないか」と話す。

一方で「ウナギと味が似ている理由はわからない」というが、スルガウナギグソクムシの胃からは大量のシラスウナギ(ウナギの稚魚)が見つかっており、減少が続くシラスウナギとスルガウナギグソクムシの急増に関連が指摘されている。

今年のスルガウナギグソクムシ漁は9月まで続く見込み。今年の夏は、店頭にずらりと並ぶスルガウナギグソクムシが新たな風物詩となりそうだ。