美大に「政治学科」新設を 有識者会議が指針

美大に「政治学科」新設を 有識者会議が指針


写真=「卒業制作展は国会議事堂で行いたい」(大学関係者)

写真=「卒業制作展は国会議事堂で行いたい」(大学関係者)

東京美術大学は27日、政治について専門的に学ぶ「政治学科」を新設すると発表した。芸術系の単科大学としては国内初の試みで、「政治に精通した芸術家の育成」(同大学入試広報課)が狙い。

この学科では「正しい政治表現のあり方」について専門的カリキュラムが組まれる。戦争画やプロパガンダ、風刺について多角度から学ぶほか、「国家の意向に添った作品を作るコース」と「作らないコース」、学芸員希望者には「自分の美術館に政治的に激しい主張の作品が持ち込まれたときに穏便に済ますコース」など実践的な内容だという。

学科設立は、日本美術のあり方を審議する有識者会議「より良い美術教育を考える会」の働きかけによるもの。政治的な主張を含む作品が急増していること受けて「政治的な表現のガイドライン」作りを進めていた。

「考える会」メンバーは「出来の悪い風刺ほど寒いものはない」と指摘し、「政治的な作品を作るのは結構だが、正しい政治表現を学ばないと良い物は作れない」と話す。

政治的な作品を売名に使おうと考える一部の作家希望者からは歓迎の声が上がる一方で、大学には「国策芸術ではないのか。政治の不当な介入だ」と抗議する作品が届いているという。入試広報課では、作品を送りつけた作家たちに募集要項を送付する方針だ。