東京美術大学、アウトサイダーアート学科を新設

東京美術大学、アウトサイダーアート学科を新設


写真=デッサンは美術教育の基本のひとつとなっている

写真=デッサンは美術教育の基本のひとつとなっている

東京美術大学は2日、来年度からアウトサイダーアート学科を新設することを発表した。世界的にも珍しい試みで、「従来の枠にとらわれない表現者の育成」(入試広報課)が狙い。

アウトサイダーアートとは、正規の芸術教育などを受けていない人(アウトサイダー)が衝動の趣くままに表現した作品のこと。近年、その独創的な作品が世界的な注目を浴びている。

新設する学科では、一・二年次で美大入試に欠かせない「デッサン技術」を完全に忘れることに費やす予定。その後、アウトサイダーな生き方を学ぶコース、アウトサイダーアーティストとしての自己プロデュースを学ぶコース、アウトサイダーアートで多用される構図や色彩を実践するコースなど、複数のカリキュラムを選択できる。

伊勢谷学長は「アウトサイダーなだけでは食べていけない。アウトサイダーであり続けるにはインサイダーでもあるべき」と指摘し、「両方をバランスよく学ぶことが大事だ」と話す。

世界的にも前例がない学科のため、すでに「立派なアウトサイダーになりたい」という受験希望者から問い合わせがあるという。東京美術大学では初年度の受験倍率を20倍と予想しており、入試では「デッサンなど基礎技術の高さを重視したい」(入試広報課)としている。