「照英の魅力感じて」 ニューヨーク現代美で展覧会


写真=展覧会の様子

写真=展覧会の様子

タレント・照英さんの画像をコラージュした展覧会が、アメリカのニューヨーク現代美術館(MoCA)で20日から始まった。ウェブ検索で世界中から集められた約100点の作品は、壁に掛けられたり、来場者がパソコンを操作して閲覧できるようになっている。

この展覧会は、2000年代の日本を中心に広がった合成画像、いわゆる「照英ください画像」で構成。クールジャパンにつながるインターネット・アート活動の新ジャンルとして、現代美術関係者から注目を集めている。

目玉のひとつ、「照英が泣きながらカナブンを転がしてる画像」(2001年、作者不詳)は「もはや照英本人を超えた」(図録より抜粋)と評される名作。荒削りながらロシア構成主義を思わせる画面からは、作者の確かなメッセージが聞こえるようだ。

一方、「タンギー爺さんの周りで側転するが気付いてもらえない照英」(2008年、作者不詳)は、印象派を意識したテクニカルな作風。展覧会に先立って行われたオークションでは、香港の実業家が500万ドルで落札したことでも話題になった。

会場には村上降の「Miss Show A」や、ダミアン・ハーネスによる「ホルマリン漬けの照英」、クリスチャン・ラッセンの「ドルフィン・アース・モーニン グ」など趣旨に賛同した著名アーティストの作品も並ぶ。また、マイクロソフト社のペイントを使ってオリジナル照英を作れるワークショップも開催中だ。主任学芸員のターナーさんは、「照英作品の魅力は溢れるパッション。ぜひ自分の目で楽しんでほしい」と話す。

また、今回の展示で注目されるのは著作権保護への取り組みだ。作品の多くがネット上に氾濫している現状を受け、作者不詳の照英作品に限り、美術館側が著作権を代行して行使する方針。改変や無断転載した場合は法的措置も視野に入れていくという。

展覧会は12月25日まで開催し、2014年に日本へ巡回予定。美術館では今後、川越達也シェフやハンマー投げの室伏広治選手をテーマにした展覧会も企画してくという。