東京美術大学、経済学部を新設 来年度から
東京美術大学は27日、来年度から経済学部を新設することを発表した。芸術系の単科大学としては国内初で、「経済や経営感覚に優れた美術家の育成」(入試広報局)が狙い。
同大学はこれまで造形学部1学部12学科で教育を行ってきたが、来年度からは経済学部2学科が加わった2学部体制へ移行する。
新設する経済学部には、美術と経済を扱う「経済学科」と、作品を市場に売り込んでいく「経営学科」を設置。会計学やマーケティングを学ぶほか、起業を目指す コースや海外受けする作品作りを学ぶコース、自己プロデュースと販売戦略を中心としたコースなど実務的なカリキュラムとなっている。
村上学長は「昨今の不況を受けて、美大生の就職状況は厳しい。卒業後に作家活動を希望する学生もいるが、経済的保証はどこにもない」とし、学部新設によって「作家になるにしろ就職するにしろ、稼げない作品は意味がない。本当の意味で成功する美術家になるには的確な経営感覚で経済を見つめる視点を育てることが重要」と話す。
ギャラリーやメディアをうまく転がし、オークションなどで収益を上げるノウハウを学べるとあって期待の声も上がる一方、「商業主義は芸術の退廃」との批判もすでに寄せられているという。