「鬼が島」の鬼が絶滅危機 乱獲の影響か

「鬼が島」の鬼が絶滅危機 乱獲の影響か


写真=乱獲の様子

写真=乱獲の様子

鬼が島(岡山県)の固有種である「鬼」が激減し、絶滅の危機に瀕していることがわかった。国立野生生物保護センターの調査によるもので、長年にわたる乱獲が原因と見られる。

同センターによると、今年4月から実施した全島調査で激減が判明。前回調査では700体が確認されたが、今回は100体しか見つからなかった。専門家は「このペースが続けばいつ絶滅してもおかしくない」と危機感を募らせる。

鬼が島の鬼は金銀財宝を巣に蓄える習性があり、角(ツノ)も高値で取引されることから、業者による乱獲が横行。ある調査によると、14年度は約1兆円相当の財宝が鬼が島から闇市場に流出したという。行政は営利目的の捕獲を禁じているが、武装する業者に対しては形骸化しているのが現実だ。

中でも「陣羽織を着た少年が率いるハンター集団」は犬やキジ、猿といった動物による「追い込み猟」が特徴で、一度に数十体を捕獲しているとみられる。さらに、少年の持つ「きびだんご」という薬物が動物の正常な判断力を奪っている可能性も指摘されており、動物愛護に敏感な世界規模の問題に発展する可能性もある。

こうした状況に専門家は、「鬼が島は無人島なので人に危険は無い。鬼が静かに暮らせる楽園のような環境を壊さないでほしい」と話す。国立野生生物保護センターでは具体的な保護方法について検討する方針で、まずは「桃太郎」を小学校で教えないよう文科省に要請するとしている。