「女子力強要するな」 首相官邸前で反女子力デモ、4万人が集結


写真=デモの参加者たち

写真=デモの参加者たち

若い女性から絶大な支持を集めるファッションの祭典「東京ガールズコレクション」開催を控え、同コレクションの中止など「反女子力」を訴える女性たちが5日、首相官邸前で抗議活動を繰り広げた。参加者は主催者発表で4万人。暴徒化した参加者が警備員ともみ合いになる場面もあった。

「女子力を強要するな!」「女子力至上主義をやめろ!」などとシュプレヒコールを上げながら首相官邸前に集まった女性の数は、周辺道路に溢れるほど。参加者は会社帰りのOLや現職の国会議員を始め、最年少は小学生、最高齢は104歳だった。「森ガールは想像上の生き物」「ゆるふわなぞ、くそくらえ」「料理の取り分けくらい自分でやれ」などと思い思いの言葉を書いたプラカードを掲げ、デモは3時間にわたって続けられた。

首相官邸が会場となったのは、 政府が「女子力の海外輸出」を目指して女子力安全保安院を設立したことがきっかけ。同院は先月、「女子力の単位」を「トリザラ(torizara)」に制定していた。それによれば「飲み会の席で率先して料理を取り分ける女子力」は5トリザラ、「自宅でコラーゲン鍋を作る女子力」は7トリザラ。一般的に、10トリザラ以上の女子力を1分以上浴びた場合、半数が死亡するとされる。

クールジャパンの主要戦略として女子力を推進する政府の動きに、一部の女性が反発。短文投稿サイトのツイッターやフェイスブックと言ったSNSを通じてデモ参加者が集まった。

東京都国分寺市の川島翔子さん(28)は、「どの雑誌を見ても女子力、飲み会に行けば女子力、同僚との会話も女子力…いい加減にしてほしい。日本中の誰でもゆるかわな女子力の高い見た目になれると思ったら大間違いだ」と憤る。また、仙台市から参加したという宮田可奈さん(31)は、「私は風呂上りに素っ裸でスルメと熱燗で一杯やるのが好きで、女子力大合唱の世の中は生きにくい」と話す。

4万人という群衆によるデモは夕暮れまで続き、独特のヒステリックなシュプレヒコールで辺りは異様な空気に包まれた。デモ当時、首相官邸では「卵がかわいそうだからオムライスが食べられないケース」「男の靴を見るだけで年収を当てるケース」は女子力に当たるか検討する、首相と女子力安全保安院の会合が開かれていた。デモの音を聞いた首相は小さな声で「だから女子力低いんだよ」などとつぶやいていたという。