ネット「釣り」で政府が釣れた


大阪府西緑市に住む中学生が外務省(町村信孝大臣)と文部科学省(中山成彬大臣)を釣り上げた※1。中学生の見事なジョークとはいえ、二つは政府機関。「いったいどうして」と謎を呼んでいる。

釣ったのは、自称「釣り師」※2こと西緑中学1年の原田翔太君(12)。原田君は6月17日、某巨大掲示板で「竹島に住民票取ってきた」などと外交を基にした際どい嘘を書き込み。住民票に似せた紙をネット上で公表するなど、手の込んだやり方だった。

また、文部科学省が来年度の中学生課題図書に定めたベストセラー「出世男」(オタク青年(ニート)が掲示板でアドバイスを募り、短期間で企業の社長にまで上り詰めた実話とされる)も、原田君自身による釣り、つまりは創作であったと言う。

シナリオを考えた原田君と、段取りを決めた鹿本商業高1年の工藤拓哉君(15)が2日、本紙のインタビューに応じ、明らかにした。

「まさか、偉い人が釣れちゃうとは思っていなかった。一生の思い出です」(原田君)
「結構、大したこと無いじゃん、と思った(笑)」(工藤君)

とリラックスした表情だ。

外務省は外交関連の書き込みのあった翌日(6月18日)、某巨大掲示板の管理人へ抗議文書を送っており、書き込みを真に受けたと見られる。

また、壮大な自作自演物語と判明した「出世男」を課題図書にし、「勤勉と言う日本の伝統と新しい就職観の青年像を象徴する」として映画化も企画していた文部科学省も、「釣られた」模様。

外務省・大村政務長官の話「人為的・意図的に嘘を流布したのならば、厳罰に値するのではないか。冗談で済むことではなく、非常に憤りを感じている」

しかし、「釣られた側が悪い」という世論が大半を占め、職務中に職員が掲示板を閲覧した事実も発覚した両省への風当たりは強い。発端となった某巨大掲示板上では、二人の少年へ対して「グッジョブ!」などと賛辞と見られる投稿が相次いだ。

ネットに詳しい立命館大学の高橋健二教授は、「リアルタイムで掲示板に参加していたが、見ていて興奮した。ネット史に残る壮大な釣りであり、掲示板文学の傑作」と話した。

国内の出版数社が出版に動いており、事態はまだまだ沈静化しそうに無い。小泉首相はこうした事態を受け「郵政法案だって元々は酒宴での釣りだった」と回想した。

※1【釣り】…ネタ・嘘で他人を騙すこと。
※2【釣り師】…ネタ・嘘で他人を騙す人。また、その能力に長けた人。