中学教科書検定で大幅な見直し 処世術や銃剣指導


文部科学省は5日、来春から使用される中学生用教科書の検定結果を発表した。学習指導要領の範囲を超える「発展的内容」の記載が認められてから、中学生用の教科書検定は初めて。一部には合格しなかったものもある。

合格した教科書では、元素の周期表や生物の進化など、現行教科書から消えていた理科、数学の内容が大幅に復活した。また、社会科の公民では「処世術」と題する単元が新たに追加され、「10日間で2億円稼ぐ方法」や「成功人の人生論」などを扱う。「デキる人」を育成するという文部科学省の新方針を反映した形だ。

目立った改変は、以下のとおり。

国語:昨年話題となった「電車男」が中学3年で採用され、古典文学の大半が削除されることとなった。反対多数の中、なぜ合格したのだろうか。また、一部教科書でいわゆる「ライトノベル」の作品が扱われていることも新しい試み。

社会:上記のほかに、一部教科書が歴史で「竹島は韓国が不法占拠」と掲載。世界地図で韓国を黒く塗りつぶした教科書が申請されたが、合格は見送られた。また、近代史にドラえもんの声優交代が掲載された。

数学:中学2年生に「モジュライ空間と表現の知識」、「球対称解の基礎」といったかなり専門的な分野を導入。私事だが、私はわかっていない。

理科:「体験する」を基本方針に、実験で教える形式が増加。芥子からの大麻抽出や、遺伝子組み換えの実験が行われる予定。

英語:アメリカの人気アニメ「サウスパーク」の会話をテキスト化して掲載。スラングや微妙な言い回しが満載されており、検定では議論を巻き起こした。

美術:全体的に「お札」に関する記述が大幅に増加。使用されている紙質から色材、デザインを詳細に紹介し、作成方法の手順も含んでいる。

道徳:ライブドアによる買収騒動を道徳で扱った教科書が大半を占めた。

保健体育:保健では、政府が懸念する「行き過ぎた性教育」に反発した教科書が目立つ。教科書をビニールで包んで中が見えないようにするなど、「ビニ本」の様相を呈している。また、体育では60年ぶりに銃剣指導の授業が復活する。

音楽:沢田研二の「勝手にしやがれ」、美川憲一の「柳ヶ瀬ブルース」など、掲載曲が大幅に追加された。

技術家庭科:実習の割かれるページが増加し、「一人暮らし」を前提とした方針が目立つ。また「ファッション」と題した単元ではモデル雑誌さながらの情報量。

こういった新教科書は、来春から使用される。