埼玉県が海開き 大宮に海水浴場
埼玉県大宮市で28日、海開きが行われた。オープニング式典で上田照夫埼玉県知事が「海開き」を宣言。「埼玉の海を満喫してほしい」とコメントすると、詰めかけた約一万人は大いに盛り上がった。
この海水浴場は全国初の「空想式海水浴場」で、水着姿で目をつむって「海で泳ぐ自分の姿」を想像するもの。昨夏、埼玉県庁の職員がニュースに映る他県の海開き映像に嫉妬して発案し、商業利用へ向けて土地の確保など一年がかりの準備が進められてきた。
生後間もない乳幼児からお年寄りまで安全に泳げるだけでなく、現実の海水浴場のように海水が必要ないこと、設置と撤去が容易なことなどから将来性の高いビジネスモデルとして注目を浴びている。
オープン初日は県内から一万人あまりが集結。水着姿の利用客はブルーシートが敷かれた空き地に寝そべり、係員の呼びかけで一斉に目を閉じると「空想」を開始。しばらくして「トランス」と呼ばれる「海で泳ぐ自分をうまく想像できた状態」になると、あちこちから歓声があがった。
海を生まれて初めて見たという川越市の女性(34)は、「海ができたことで、埼玉も東京と肩を並べることができた」と満足げ。また、放射能汚染への恐怖で海水浴に行くことをためらっていたという男性(35)は「ここなら安心して泳げますね。電源もあるから、次はパソコンモニターで嫁と楽しみたい」と環境に満足していた。
埼玉県は「空想式海水浴場」の特許を申請中で、観光資源として期待を寄せる。利用客の反応を受け、今後は山梨県や長野県など「海なし県」に売り込みたい考えだ。会場には「海なし県」職員が集結して熱心にメモを取る姿も見られたが、滋賀県は琵琶湖を海水浴場として使用しているため不参加となった。
大宮海水浴場は通年営業していく方針。入場は無料だが、会場内で目を閉じた時点で遊泳料(500円)を支払う必要がある。
【埼玉県の海開き】・・・埼玉県にとって海開きは悲願。海を見たことが無い県民が8割を超える中、県では海水浴場設置の方法を長年検討してきた。東京湾を掘削して埼玉まで引き込む案、海に接する千葉県を併合する案なども出されたが、費用面で見通しが立たず実現しなかった経緯がある。