「スパム伝書鳩」に注意呼びかけ 情報安全委員会
個人情報の流出が相次ぐ中、伝書鳩を使ってウイルスに感染させる新たな手口が相次いでいる。情報安全委員会は「怪しい鳩が飛んできても窓を開けないでほしい」と注意を呼びかけた。
17日午前11時頃、横浜市内に住む60代の男性宅の窓を鳩がつついた。驚いた男性が窓を開けると、鳩はそのまま部屋に入り、脚に括り付けてあった手紙を落として飛び去ったという。手紙には「映像のモザイクを消す機械が特別価格で買えるウェブサイト」のアドレスが記載され、アクセスした男性のパソコンはウイルスに感染した。
個人情報の流出はこれまで、メールなどによるウイルス感染が原因のほとんどを占める。最近は、より安全な連絡手段として伝書鳩を利用する企業が増えているだけに、「スパム伝書鳩」への注意喚起と効果的な対策が急がれる。
情報安全委員会では15日、全国の自治体に向けて伝書鳩1万羽を放鳥。「怪しい鳩には窓を開けない」「万が一触ってしまったら、手洗いうがいでウイルスを洗い落とす」「ウイルス感染が疑われたら窓を締め切って外部と遮断する」などの対策が書かれた文書を託した。しかし急な放鳥のため伝書鳩の数が足りず、公園の鳩を代用した影響もあって「現在も7割の自治体に届いていない」(委員会担当者)という。
情報セキュリティに詳しい鷹の台産業大学の木村教授は、「伝書鳩の代わりに飛脚を導入したとしても、すぐに『スパム飛脚』が登場するのではないか。何にしても日頃からセキュリティ意識を持つことが重要だ」としている。