「流言」発祥の地 今年も言葉を川に放流


佐賀県宇曽市の宇曽川で、今年も言葉の放流が始まった。江戸時代から続くこの地の伝統的な行事で、虚構や虚言を指す「流言」の起源としても知られる。

この日放たれた言葉はおよそ一万個。広辞苑から厳選した単語をわら半紙に書き、参加者が思い思いの場所から宇曽川に流していく。最初は大人しい様子の言葉だったが、川の環境に慣れると元気よく川を下っていった。
言葉はこの後、宇曽川から瀬戸内海を経て、さらに黒潮に乗って太平洋を回遊する。その過程で尾びれが大きく育ち、立派な流言に成長するまで一年ほどかかるという。流言の場合、尾びれが大きければ大きいほど良いものとされる。

放 流する言葉を選んだのは、NPO法人「ほらがいの会」と、宇曽市内の小中学校の生徒約500人。昨年、「iPS細胞」という言葉を放流したという森口尚志 くん(宇曽第一中学校3年生)は、「辞書から大きく育ちそうな言葉を選ぶのが大変だった」と語る。今年何を流したかは秘密だという。

同様の行事としては、北海道大保羅町で、言葉を風船につけて飛ばす「飛語」が有名だ。宇曽市と大保羅町は姉妹都市でもあり、毎年4月1日にはエイプリルフールの起源とも言われる「流言飛語祭り」が開催されている。