排ガス製造最大手が事業撤退へ

排ガス製造最大手が事業撤退へ


国内排ガス最大手の必要悪ホールディングス(東京)は4日、排ガス製造事業から撤退すると発表した。環境保護が世界的な課題となる中、「必要悪」としての存在感が薄れ業績が悪化していた。

必要悪ホールディングスは、国内で鉄道運行が始まった1872年創業。当初は蒸気機関車から排出される黒煙と煤を製造していたが、自動車の発明とともに排ガス製造事業へ転換。自動車や空気清浄機などを製造するメーカーにとっての「必要悪」ポジションを不動のものとし、国内で一年間に排出される排ガスの9割近くを製造してきた。

だが近年、環境保護意識の高い海外資本に国内家電メーカーが相次ぎ買収されたことや、電気自動車の普及、若者の自動車離れが直撃。今期の排ガス製造事業は5期連続の赤字となる見通しだ。

こうした状況を受け、同社は4日の取締役会で排ガス製造事業からの撤退を決定。都内の工場は今年度中に閉鎖し、17名の従業員と設備は海外も視野に譲渡先を探すという。

同社は今後、永田町名物「黄金色のお菓子」の製菓事業をはじめ、サービス残業を常態化させるコンサルなど業績好調な事業に注力する方針。これからの政治動向も見据え、重火器製造事業や原子力事業への投資も視野に「必要悪」の普及を目指すという。