「投票箱に猫入れた」の電話、しかし箱は開けず


道路計画の是非を問う住民投票が行われた大平市に、「投票箱に猫を入れた」という意見が寄せられていることがわかった。選挙が不成立となったことで市は開票しないことを決定したが、この対応に市民からは批判的な声があがっている。

市の発表によると、27日朝、市役所に男の声で「投票箱の中に猫を入れた」と電話があった。電話に出た職員が選挙担当者に代わると、男は「放射性物質ラジウムとガイガーカウンター、青酸ガスの発生装置も入れた」と続け、「猫は50%の確率で生存する」と話したという。

今回の選挙で市は、成立要件を投票率70%に設定。最終的な投票率は35.17%に留まったため、投票された5万票余りが開票されず90日間保管後に廃棄されることになっていた。

電話に出た職員は取材に対し、思考実験で知られる「シュレディンガーの猫」を引き合いに「猫が生きているのか死んでいるのか、それは投票箱を開けてみるまでわからない。 結局のところ開けなければ我々はその結果を知ることはないのだから、猫が生きている50%の可能性を残したままにしておくことが最善」と説明し、投票箱を開けないことの正当性を強調した。

しかし、猫が入っているという情報が発表されると、市民からは「市の説明は難しくて理解できない。市民を馬鹿にしている」「コペンハーゲン解釈はいいから猫を助けて」「まあ、猫はかわいいよね」などの声があがった。

【用語解説】
シュレディンガーの猫(ウィキペディア) 思考実験のひとつ。50%の確率で猫が死亡する装置と猫を入れた箱において、その猫の生死を問うもの。