プロ化する甲子園 行き過ぎた強化自主求め


球児の夏、甲子園に異変が起きている。

高野連の高野是貴理事長は28日、「あくまで、スポーツマンシップに則ってチーム作りをしていただきたい」と語り、顕著に活発化している「強化競争」に対して自粛を求める意見文を全国に配布した。来年からは一部を違反とする方向で決定しつつあり、厳罰に処せられる可能性もあるとのこと。

近年、各高校では盛んに外国籍生徒を招聘する「助っ人生徒」が常識化しつつある。実際、昨年のベンチ入り生徒を見る限り、半数が外国籍だった。決勝戦では、宮城代表の鶴本高校のエース、アレックス・ヨハンセン君(アメリカ)と千葉代表新井商業高校のエース、金達民君(韓国)の投げ合いだった。外国籍の先発投手による決勝戦は、3年連続4度目。一方、ベンチ入りした日本人の生徒は10年連続で減少している。

また、高校間では「留学」と称したトレードが頻繁に行われ、一部では留学費用の名目で高額の移籍金が動いている事例も判明している。特定の金満校による選手のかき集め問題が深刻化しており、東京都の慈愛案津高校は今回、名指しで批判された。

監督も、外部から招く体制が合法化して以来、各校がこぞって「名将」を呼び寄せた。中でも、南海高校(鹿児島)は野村克哉氏、毬名高校(兵庫)は長谷川滋年氏が監督を務め、矢野木津高校(東京)は、ロジャー・クレヌンス氏が「総名誉監督」となっている。

こ のように、外国人選手の増加やトレードなど、半ば「プロ化」が目立つ高校球界の原因は、野球人気の低迷。世界的に競技人口の少ない野球にあって、プロとし て成り立つのは日本、アメリカ程度。そこで、外国人枠が撤廃されている日本球界入りを目指す外国籍の青年が、自ら志願して留学していることもある。

韓国では3年前にプロ野球が廃止され、アメリカでも人気は年々低下。オリンピック競技からも外された現在、日本国内で野球を志す高校生は少なく、こちらも問題となっている。