陸上選手に「ありがとう」でタイム速く 短距離で実証


国立スポーツ研究センター(国立市)は11日、陸上短距離走の選手に「ありがとう」と肯定的な言葉をかけ続けるとタイムが速くなることを発表した。同センターの松岡修二教授(ウィンブル論)による研究で、今月発売の筋トレ雑誌「ターザン」に掲載される。

松岡教授の研究では、100メートル走のタイムが同じ16秒の男性選手2人を選定。将来性のありそうな10代のA選手には毎日「ありがとう」「いいね!」と 声をかけ、最新鋭の施設でトレーニングを半年間続けた。一方、50代のB選手には「がんばらなくていい」「無理するなよ」「若くないんだから」などとネガ ティブな声をかけ、やる気をなくした本人の意向もあって特別なトレーニングは行わなかった。

半年後、A選手のタイムを計測すると飛躍的な 伸びを見せ、自己ベストを2秒更新。しかしB選手は計測前日に60歳の誕生日を迎えたこともあり、自己ベストから5秒近く遅いタイムしか出せなかった。こ の結果を受け、肯定的な言葉はタイムを早めるが、反対にモチベーションを下げる言葉をかけ続けると遅くなると結論づけた。

この日行われた 世界陸上モスクワ大会、男子100メートル決勝には松岡教授が駆けつけ、優勝したボルトに「ありがとう」の声掛けを自主的に実施。ボルトが優勝したことを 受け、 「言葉の持つ神秘的なパワーは水や水晶だけに作用するとおもわれてきたが、人間にも影響することが実証された」と胸を張る。今後は「短距離走以外での効果 も調べたい」と話す。

こうした報告を受けた世界陸連は「世界陸上において、ありがとうという声をかけることはドーピングにはあたらない」とする公式見解を発表している。