「108円硬貨」「8円硬貨」発行へ 消費増税対策で


写真=来年発行予定の新硬貨試作品

写真=来年発行予定の新硬貨試作品

金融政策決定会議は16日、2014年4月が確実視される消費税率引き上げに備え、「108円硬貨」「8円硬貨」の発行を決めた。年内にも鋳造を開始し、来年の流通を目指す。

消費税率を5%から8%に引き上げるのは既定路線だが、「8%になると、税込み価格の計算が複雑になる。税込計算への抵抗感から消費活動が減退するのでは」と経済への影響を懸念する声が与党内からあがっていた。

麻 生大朗財務相も15日、「消費税8%だと400円のカップ麺を買ったら472円だというようにすぐ答えが出せればいいが、一般消費者の頭脳には少し難し過 ぎると思う」と発言。税率計算を容易にするため、「8円硬貨」と100円の税込み額である「108円硬貨」を発行できるか検討を指示していた。

新硬貨が発行されれば、税抜き100円の買い物をした時に「108円硬貨」1枚で事足りる。また、「8円硬貨」を使えば「1円硬貨」を 何十枚も持ち歩かなくても済むようになる。関係筋は取材に対し「1860円の買い物をしたら、税込2008円になる。2000円札と8円硬貨でスマートな 会計をしてほしい」と効果に期待を寄せる。

また、政府は15年に税率10%、16年には20%、最終的には40%前後へ引き上げを計画しており、それを見越して「110円硬貨」や「20円硬貨」「40円硬貨」の発行も検討しているという。これに伴い「5円硬貨」は段階的に廃止する方針だ。

消費税と経済活動に詳しい沖ノ鳥島経済大学の森永拓郎教授は、「100円の買い物に108円硬貨を出したところで、税抜き108円の商品があったら元も子もないのでは」と話している。