参議院にも解散風 一部報道で選挙モード加速

参議院にも解散風 一部報道で選挙モード加速


写真=国会議事堂

写真=国会議事堂

永田町に吹き荒れる解散風が、解散とは無縁だったはずの参院にも及んでいる。安倍首相が参院を解散し衆院とのダブル総選挙に踏み切るとの一部報道を受け、にわかに選挙モードが加速。前例のない選挙戦に向けて与野党は対応に追われている。

「まさか私が解散総選挙を心配する日が来るとは」。与党の重鎮ポストに座る有力参院議員は17日、突然浮上した解散報道に困惑した表情を見せる。参院合同忘年会の打ち合わせ中に一報を受けたが、参院議員生活40年で解散総選挙の経験は無い。

きっかけは全国紙による一部報道。関係筋の話として「安倍首相が参院解散を決意」と16日に一面で報じると、すぐに別の全国紙が「参院解散、衆院とダブ ル総選挙」と続報を流して各方面へ広がった。ある政治アナリストは「一向によくならない国民生活を考えれば、参院も解散して国民の信を問うべきだ」と指摘する。

同日中にテレビも断定的に伝え、参院解散は既成事実化。ある与党幹部によれば、参院議員会館に殺到するマスコミを見た首相は「もはや解散しない選択肢は無い。戻れないだろう」と話し、降って湧いた報道を受け入れる考えを示しているという。参院は憲法により解散できない規定だが、「首相は憲法解釈の変更を閣議決定する方針」(関係筋)と見られる。

日程は衆院選の日程に合わせるとの見方が有力(前述の政治アナリスト)で、解散経験が無い参院議員への選挙教育など与野党とも急ピッチで準備に奔走している。しかしこの時期の解散には周辺諸国の反発も強まりそうで、首相本人の口による説明責任が求められそうだ。