新たに「アナログ庁」設置検討を 有識者団体が要望書
9月に国の情報技術政策の推進役となるデジタル庁が発足したことを受け、民間の有識者団体から「アナログ庁」の設置を検討すべきとの声が上がっていることが、11日までにわかった。
デジタル庁は「誰ひとり取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げ、IT化やDXによる社会のデジタル化、さらに手続きやサービス、働き方の効率化を目指している。一方で「一部の国民」からは、「急激なデジタル化についていけないのでは」との不安の声も聞かれる。
こうした意見を受け先月、民間の有志で作る有識者団体「アナログの価値を見直す検討委員会」が発足。アナログ政策を一元的に取り扱う「アナログ庁」設置の是非について議論を重ね、「設置基本案」をA4用紙3500枚にまとめた。
委員会の関係者によると「アナログ庁」は「おじさん、おばさんを取り残さない」を掲げ、主な業務はアナログ人材の活用と保護。基本的に業務でのスマートフォンやタブレット端末の使用は禁止し、ポケベルを中心とする。
職員は「会議のための会議」や「印鑑決裁」「表計算ソフトをはじめ書類はすべて印刷する」などを行う。業務用PCはWindows98で、データのやり取りはフロッピーが基本。今後はWindowsXPまで許容するか検討が必要としている。
職員構成は各省庁から「アナログに明るい人材」を選抜して配置するほか、一部大企業からも募集する。また、外部とのやりとりは基本的にはファクシミリを用いるが、緊急時に備えてバイク便専従の職員も1000人程度雇用するという。
前述の関係者は「印鑑決裁の際は、上司に敬意を示すために「お辞儀」させて傾けるのが日本の伝統的美しさ。こうした文化を継承させたい」と意気込む。
「アナログの価値を見直す検討委員会」は今後、アナログ庁の「設置基本案」をA4用紙5500枚程度まで改定した上で、国会議員全員に向けて郵送する方針だ。