死体花から骨肉組織を発見 オーストラリアの研究所
オーストラリアのベリージェイ国立植物研究所は5日、花が強烈な悪臭を放つことから「死体花」とも呼ばれるアモルフォファラス・ティタム(ショクダイオオコンニャク)から動物の骨肉組織に酷似した細胞を発見したと発表した。これにより、悪臭の原因はこの細胞とする見方が強まった。20日発行の科学誌「フルート」に掲載される。
植物園内で栽培中の死体花から取り出した細胞を分析。発見された組織には、人類を含めた類人猿に見られる「タマリッツ細胞体」と近い構造を持つ部位もあったという。ストーン研究員は「細胞組織が動物のそれと非常に良く似ています。しかし、分類学上から見れば死体花は間違いなく植物なのです」と驚きを語った。
花の臭いに堪え兼ねた若手研究員が「園長に内緒で焼却処分してやるぜ」と言い残して栽培ゲージにいったまま行方不明になったことがあるというが、因果関係は不明とした。
発見によって悪臭の原因解明が進むのは確実で、このような細胞を持つに至った原因の研究も進めるという。さらに研究が進めば、悪臭のしない「生肉花」の開発も可能。そうすれば、ドナーや動物に頼っていた移植治療、再生医療へ利用できる可能性もある。また、植物と生物にまたがる新領域として分類学でも影響が出ることは必至だ。
同研究所は今後、悪臭に耐えながらも水やりは欠かさない予定だという。