世界フィギュア、チョチールが優勝 ケージの「4分33秒」演じきる


世界フィギュア選手権最終日は27日(日本時間28日)、イタリア・トリノで女子フリープログラムを行い、チョチール・イヤカンテルス(ガボルテンドラグ共和国)が優勝した。2009年大会から2連覇。2位は日本の高田由里、3位はブルガリアのハジだった。

前日のSP(ショートプログラム)が1位のチョチールは、フリーで奇抜な新プログラムに挑戦した。ジョン・ケージの名曲「4分33秒」※をモチーフにした構成で、演技開始から4分33秒間、氷上で微動だにしなかった。中でも中盤に決めた新技「ストップ・ジャンプ」は素人目には全く動いていないように見えるが、実際に全く動いていないという大技だ。直立不動のままノーミスで演技を終えると、前日のSPと併せ300点超えを記録、圧倒的な優勝となった。

日本の高田は3Aを2回取り入れ、冴えたステップなどほぼノーミスで演技を終えたが、採点は伸びずに合計197点となった。

表現力の差

1位と2位の差がこれだけ開いたことについて、フィギュアに詳しい金山哲治さん(大阪第三産業大学氷上演舞学教授)は、「チョチールが『曲の解釈』で50点 加点された一方で、高田は(曲の解釈が)マイナスとなったことが響いた」と指摘。前衛音楽である「4分33秒」を採用したことを「英断」 と讃えた。

「何もしないでこの点数なら、ジャンプなどを取り入れた他の選手はどうしようもないのでは」との質問には回答を得られなかった。

この結果に、高田は「まだまだ私の表現力や技術が足りない。応援してくださっている方々の声援を力にして、たくさん練習して、次の大会は1位を目指したいです」と語っている。

今回の大会は、技術以上に表現力や曲の解釈に重点を置く現行の採点傾向を如実に反映する結果となった。

※ジョン・ケージが作曲。4分33秒間に亘って無音で構成される。