「粛々」表記はモザイク処理を 出版団体が指針

「粛々」表記はモザイク処理を 出版団体が指針


写真=モザイク処理された紙面

写真=モザイク処理された紙面

全国の出版社で作る業界団体・日本校閲協会は10日、「粛々」表記にモザイク処理を義務付ける自主規制指針をまとめた。これにより、来週発表予定だった「第70回永田町文学賞」と「第70回霞ヶ関文学大賞」の受賞作品に大幅改定の必要が生じ、発表延期が決まった。

「粛々」とは本来、「静かでひっそり」や「厳かな様子」を意味する。だが、今月に入り「粛々」が政治的・社会的な注目を浴び、「元々の意味を離れて拡大解釈が起こる可能性がある。不必要な波紋を呼ぶくらいなら最初から使わない方が良い。臭いものには蓋、触らぬ神に祟りなしだ」(協会関係者)との判断による措置。

指針では出版物における「粛々」表記について、(1)なるべく他の言葉で言い換えできないか熟考する、(2)やむを得ず使用する場合はモザイク処理を施す−−ことを定めた。

(1)の言い換えについては、一般公募で集まった「淡々と」「厳粛に」「ほっこりと」「ムクムクと」など数種類から選考。最終的に「いろんな意見があって賛否両論だけどこちらも事情もあるしとにかく今は淡々と」に決定した。

紙面に言い換え可能なスペースが無い場合は、(2)に則りモザイク処理を施す。モザイクは光に透かしたり、目を細めて見ても判読できないレベルのものと定めた。指針は本日付けで出版各社に通達され、11日から運用が始まる。

日本校閲協会では「粛々と指針徹底を進めたい」としている。