王道がズラリ 「究極の推理小説」発売へ

王道がズラリ 「究極の推理小説」発売へ


写真=文庫版の説明文

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「双子」「夢オチ」「探偵が犯人」—。あらゆる王道を詰め込んだ「究極の推理小説」が出版されることがわかった。読書離れが指摘される出版業界に一石を投じることが狙いで、来年1月に日暮里書房(東京)から発売予定。

小説のタイトルは「モルグ街の怪人二十面相の献身と誰もいなくなった赤毛のポートピア一族連続殺人事件」。絶海の孤島にそびえ立つ猛吹雪で外界と遮断されたペンションを中心に、天才科学者の別荘や寝台列車・北斗七星など次々に舞台が変化するのが特徴だ。

主人公は、物語の語り手かつ真犯人でもある医師・シェパードと、相棒・真野康彦(通称ヤス)。さらに「ふざけるな!殺人鬼と一緒にいられるか!」と自室にこもる男性、「頭脳は大人」の小学生やヘロイン中毒の自称名探偵など個性豊かなキャラクターが物語に花を添える。

著者は「チーズは俺が食べた」「学年中位の男が1年で偏差値も特に変わらず普通の大学に入って普通に就職して平凡な人生を歩んだ話」などのベストセラーで知られる新進気鋭の作家・吉又一樹さん。「新本格サスペンス・ラブコメディ・トラベル・アクション・叙述・ファンタジー・ギャグ・ミステリーを完成できた」と手応えを語る。

日暮里書房の寺岡社長は、「真犯人が探偵、双子を使ったアリバイトリック、一人二役など推理小説の粋を結集させた傑作。最後まで展開の読めない謎解きを楽しんでほしい」と述べ、ネタバレ気味のコメントに悪びれる様子も無く満足げに会見会場を後にした。