チームで130年続く名字 イギリス・プレミアリーグ


写真=サッカー(資料写真)

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プレミアリーグのエディクション・トルータス※は、創立が1875年の古豪。地元エディクソンの市民に心から愛されるこのクラブは、不思議な「伝統」がある。クラブ創立から130年間、どの年代を見ても、オーナー、監督、選手の中に必ず「シアーズ」姓がいるというのだ。

クラブ創設者の靴製造工場社長「ジェームズ・H・シアーズ」に始まり、初代監督の「ダニエル・シアーズ」、そしてシアーズ監督が去った1900年代初頭の選手「シャーロック・M・シアーズ」と続く。初代オーナー以降、「シアーズ氏」がこのクラブから一時でもいなくなったことは無い。

そ して、その「シアーズ氏」はクラブの強さにも関係してくる。1920年代のGKヘンリー・シアーズはクラブをリーグ3連覇に導く大活躍。また、50年代の 監督だったステファン・J・シアーズは「名将」といわれる実績を残し、最近では在籍中のFWロベルト・シアーズが得点王の活躍を見せている。

現GMのモンテカルロ・シアーズ氏は「特に示し合わせているわけではありません。なぜか、『集まる』のです。私もシアーズですが、入団するまでこの『伝統』は知りませんでした」

この「シアーズ続き」はいつしか「伝統」となり、地元ではジンクスにする見方もある。開幕戦でシアーズ姓の選手がゴールすれば、そのシーズンはクラブは上昇するとの事。しかし、一部で若手「シアーズ」選手数名がプレッシャーに押しつぶされる事態も発生している。

欧米で特に多いとはいえない「シアーズ」。港町エディクソンにはふさわしい「海」を象徴する名字だが、もう一つ意味「勝ち誇る武力」通りの活躍をするのは当然なのかもしれない。

※1875年、イギリス西部の港町エディクソンでジェームズ・H・シアーズが創立。第二次大戦前はリーグ優勝8度の強豪。戦後も、50年代、80年代、00年代に黄金期といえる活躍を見せる。UEFAカップ優勝2度も達成している。