「不味さを守れ!」イギリス料理を世界遺産に 市民団体が請願書


写真=イギリスの伝統的な朝食「フル・ブレックファスト」(Wikipediaより)

写真=イギリスの伝統的な朝食「フル・ブレックファスト」(Wikipediaより)

イギリス料理の愛好家団体は25日、イギリス料理を世界無形文化遺産に登録するよう求める1万人分の署名をイギリス文化庁に提出した。文化庁ではユニセフへ登録申請するか検討していく。

署名を提出したのは、ロンドンに本部を置く「ブリテッシュ・カルチャー・クッキング」(BCC)のメンバー6人。リーダーのジョン・ギリアムさんは、「最近のイギリス料理ははっきり言って美味しすぎる。そんなもの本来の姿ではないし、それならフランスでカエルとカタツムリでも食った方がマシだ」と話し、「不味さ」という古き良き伝統が失われつつある現状に危機感を抱いたという。

BCCが世界遺産の構成リストに入れているのは、「ドロドロのオートミール粥」「味の無いうなぎのゼリー寄せ」「3日間は胸焼けが続きそうなギトギトのフィッシュ&チップス」「茹で過ぎて原型の無くなりつつあるパスタ(らしきもの)」など、一昔前のイギリスを代表する料理が11品目。00年代以降のイギリスでは化学調味料の発達や、レトルト食品・冷凍食品の普及で料理レベルが向上したとされ、リスト入りした料理は絶滅の危機にあるとされる。

署名活動ではロンドン市民の熱烈な応援を受け「気運が高まっているのを感じた」(ギリアムさん)としながらも、「6人で1万人分を署名するのは大変だった」と口走り発言を撤回する場面も見られた。

請願書を受け取った文化庁の担当者は「ゲテモノ食いのフランス料理ですら世界遺産になれるのだから、イギリス料理も可能性は十分ある」として前向きに検討していく方針だ。