囲碁AI、100連敗達成 最弱棋士に完敗
米メルツェル社が囲碁用に開発した人工知能(AI)「ケンペレン」は31日、「世界最弱」と評される井藤二郎棋士との3番勝負を3連敗で終えた。ケンペレンは公式戦100連敗となり、人間を超える圧倒的な弱さを証明した。
今回の対局は、知的ボードゲームにおける「弱さ」をAIが完全に分析し把握したことを証明する結果。井藤棋士は対局後、「5年ぶりに勝てて非常に嬉しい。人間がケンペレンに負けるのは不可能だろう」と完勝を認めざるを得なかった。
対局は序盤から井藤棋士が押し気味に進めたが、久々の有利な展開に緊張したのか中盤以降は悪手を連発。解説者も逆転を予想したが、ケンペレンは勝負手をことごとく見逃し続け、一度も流れを支配することなく完敗を喫した。
ケンペレンは深層学習(ディープ・ラーニング)による自己対局を繰り返すことで数十万種類の「負けパターン」を習得し、わずか数年で驚異的に弱体化。人間との初対局となった昨年は囲碁歴数日の小学生を相手に「絶妙な弱さ」を見せて負け越し、注目を集めた。囲碁の専門家は「どんな手を打ってもこちらを上回る悪手を打ってくるし、弱点だらけ。人間の限界を凌駕する弱さだ」と舌を巻く。
ケンペレンは今後、囲碁でAIに連戦連敗が続く人間の自尊心を回復させるなどの用途に役立てるため研究を続けていくという。