ポリカ諸島で作家の「リレー小説」を発見


20世紀を代表する作家として知られる、ハーマン・メルヴィルら15名がリレー形式で書き綴った小説が発見され、話題になっている。

発 見されたのは、太平洋上に浮かぶ、美しい島・ポリカ諸島。現在はポリカ政府が国立公園と認定し、一般の立ち入りが禁止されている「楽園」として知られる が、かつてイギリス領であった時代にここに滞在したメルヴィルら作家が、数頁ずつ書いていったものとされる。イギリス領下の建築物である「ポリカ商用会議 館」の書庫に所蔵されていたところを、海洋文学研究家のブラック博士が偶然発見した。縦9インチ、横7インチの上製本になっているとのこと。

全頁172から成るこの作品は、開港と題され、きちんと製本された状態であった。著書名には当時活躍した作家らが名を連ね、総勢15名に及ぶ。書かれたのは1947年頃と推定され、資料的価値としても重要とされる。

内 容を「楽しんだ」と言うブラック博士は「決して著名な作家ばかりではありません。ですが、活躍した彼らの魅力、有り余るほどの力がよく現れ、奇跡的に1冊 の小説として完成しています」と驚きを隠せない様子で、「ただ単に小説として最高傑作です。『開港』は新たな20世紀文学の頁に残りました」と語った。そ して「研究資料としても貴重で、歴史的背景や作家同士の交流を知る上でも重要なものです」と付け加えた。

「開港」は、1900年代前半が舞台の海洋小説だと言い、今月30日にもブラック博士がイギリスの大学で調査する。その後、来年2月にはイギリス文学館に展示予定で、書籍化しての一般発売も予定されている。

「リレー小説」に参加したのは、「白鯨」で知られるメルヴィルや、「解散期」のトミー・カーチス、児童文学の大家キャンベラ・ミラー、ナート・ライプチッヒといった欧米の作家で、1960年代までイギリス領だったポリカ諸島に休暇で滞在した時に書かれ、裏書によると「1946−1953」となっていることから、およそ8年間に渡って「リレー」が続いたと見られる。最後に書いた作家は、イギリスの歴史小説家ロバート・J ・フォックスだった。

「この島に滞在した作家たちが、なぜこんなにも長期間続けたのか解りません。今後の研究に期待です。価値は計り知れません」と、ブラック博士は語った。