東都地裁、AKB総選挙に「合憲」判決 「一票の格差」認めず


写真=東京地方裁判所

写真=東都地方裁判所

東都地裁(前田敦男裁判長)は10日、AKB48総選挙について、「一票の格差」を認めない判決を下した。かねてより問題視されていた領域に、司法判断が初めて切り込んだ格好だ。

この訴えは、2011年6月のAKB48選抜総選挙において、「一票の格差」が最大4000倍に及んだことは「法の下に平等を定めた憲法に違反している」とし、都内在住の男性(34)が選挙無効(やり直し)を求めていたもの。男性はこの選挙で、なけなしの小遣いで投票券入りCDを1枚購入して「推しメン」に一票を投じたが、このメンバーは選抜入りを逃したという。しかし、その後にテレビで「一人で4000枚もCDを購入して投票する男性」がいることを知り、選挙制度の平等性に疑問を持ったとしている。

判決で前田裁判長は「AKB48選抜総選挙は憲法に準じず、よって法ではなく『財力の下に平等』であるべき」と述べ、現行制度で何ら問題ないとする見解を示した。原告の男性は即日控訴した。

今年6月の総選挙では貯金50万円をつぎ込んで投票券を購入するファンも登場するなど、選挙戦は規模・注目度ともに「国民的行事」(テレビ関係者)に発展。資金を注ぎ込むことが当選への定石になりつつある現状を判決が加速させることを懸念する声もあるが、AKB48ファンの反応は冷静。「経済力を使うのも、ようは熱意の見せ方のひとつ」「裁判所のお墨付きが出た」などの意見がネット上で大勢を占めた。

その一方、前田裁判長の「推しメン」が問題の選挙で1位を獲得していたこともあり、「やり直しは絶対に認めたくなかったのではないか」との意見も見られた。

またこの日、近畿地裁にも同様の訴えがあり、受理されたことも判明。この問題が全国に波及する可能性も出てきた。