「パンの耳」製造大手が破産 全国的な品薄も
神戸市の大手食品メーカー「スキマ食品」は13日、自己破産を申請したと発表した。すでに事業を停止しており、パンの耳職人ら19名を解雇。負債総額は50億円で、近年は売り上げ低迷による資金難に陥っていた。
同社は一斤のパンから数十グラムしか取れない「耳」を製造する日本唯一の工場として知られる。岡田義輝社長は「これまで耳以外の部分は捨てていたが、耳とセットにして売ればよかった。消費者に申し訳ない」と陳謝。起死回生の新商品として「蓋の裏についたアイス」の開発を目指していたが、原料となる大量のカップアイスを調達できず断念したという。
「パンの耳」国内シェア100%メーカーの破産を受け、一部の経済評論家は、品薄による「パンの耳ショック」が起きる可能性を指摘する。すでにSNS上では買い占めを呼びかける運動が起きているほか、密造された「闇パンの耳」がオークションサイトで高値をつけるなど社会的影響はしばらく続きそうだ。
同社は今後、「パンの耳」事業を他社へ譲渡する考え。「エビの尻尾」「鮭の皮」を専門に製造するニッチ食品(山形市)が関心を示しており、解雇したパンの耳職人の雇用などを条件に交渉を続けているという。