尖閣沖でサンゴ養殖へ 密漁船を一網打尽に
農水省は6日、尖閣諸島沖で赤サンゴの養殖事業に着手する方針を決めた。日本近海で貴重なサンゴを密漁する中国船に対抗する措置だという。
小笠原諸島や伊豆諸島の周辺では、高値で取引される赤サンゴを違法に採取する中国船が急増。海上保安庁では巡視船を増やして対応してきたが、多いときには数十隻が一度に押し寄せるため人手不足が慢性化している。
尖閣諸島周辺で領海侵犯の監視任務にあたる巡視船を減らすことは難しく、中国漁船は徐々に増加しているのが現状だ。今月1日には違法操業していた日本船を違法操業していた中国船が拿捕して日本側へ引き渡す事案も発生しており、中国船の「我が物顔」はエスカレートしている。
事態を重く見た政府は緊急で関係官僚を集めて協議し、小笠原諸島と伊豆諸島の近海に豊富な赤サンゴの漁場があることが人手不足の原因と判断。尖閣周辺の巡視船を減らさずに中国船を監視する方策として「尖閣諸島沖でサンゴを養殖し、それを狙う中国船を監視する」(農水省幹部)ことを決めた。
農水省の寺田水産科長は「領海侵犯と密漁を一斉に取り締まれるので一石二鳥だ。一網打尽にできる」としており、早ければ来週にも赤サンゴ養殖の臨時予算1兆5000億円を計上する考えだ。赤サンゴは1cm成長するのに30年かかるとされるため、中国船が狙う大きさのサンゴになるまで200年ほど要すると見られる。