法相、脱法うちわの規制強化に意欲

法相、脱法うちわの規制強化に意欲


写真=洋画家・黒田清輝による『湖畔』(1897年)

写真=洋画家・黒田清輝による『湖畔』(1897年)

松嶋法相は9日、「脱法うちわ」について規制を強化し、取り締まりに力を入れていく意向を示した。記者団に語ったもので、厳罰化も視野に入れた法整備を目指すとしている。

脱法うちわとは、正規のルートを介さないで流通する違法なうちわのこと。今年に入り、イベント会場で政策資料を装って無料配布される脱法うちわが摘発されるなど社会問題となっている。現在の法律では脱法うちわを罰する規定が無いため、対策が求められてきた。

法相は脱法うちわについて、「うちわのようなもの」や「うちわと解釈されるもの」と定義。これらの使用を厳しく制限する方針で、法整備に向けた特別チーム「うちわ対策緊急会議」を編成するという。

法相は個人的な考えと前置きした上で「『作成者がうちわと意図していないものを、うちわとして使用した場合』も脱法うちわと言えると思う」と指摘し、「(脱法うちわを)使用した者は厳罰に処することも考えている」と述べた。

うちわの利用がピークを迎える来夏までに草案を取りまとめ、国会に提出する方針。下敷きや卓球ラケット、雑誌などをうちわとして使用する場合の取り扱いや、国会議員の中にも左うちわに縁の深い議員もいることから、「うちわの定義」を巡って議論は紛糾しそうだ。関係者の中には、早くも曖昧な政治決着を予想する声も囁かれる。

こうした動きに対し一部の美術館では、うちわを扱った作品が政治的主張をしていると非難されることに備え、うちわ部分に布を掛けて閲覧を制限するなど対応に追われている。