全世界で時間が止まる恐れ 標準時機構でストライキ


イギリス・グリニッジに本部を置く世界標準時機構(LIE)の労働組合は現地時間3日、労働条件の改善を求めてストライキを決行した。この状況が続けば、同機構が管理する「世界標準時計」が5日にも止まる見通し。

「世界標準時計」は世界中の時間や時差の基準になる「原器」。運用が開始された1946年から現在まで、2日に1回のペースでゼンマイを巻くことで維持されてきた。

同機構のブレゲ報道官は緊急会見を開き、「このままでは、世界標準時計は5日午前6時にもゼンマイが切れる見通しだ」と述べ、それまでに巻き直す必要があるとの見解を示した。

その場合は「世界中で時間の概念が失われる」(ブレゲ報道官)ことになり、産業や経済、社会に及ぼす影響は計り知れない。時間の概念が失われた状態から再び動かすにはビッグバン125回分に匹敵する爆発的エネルギーが必要になるとされるが、技術的に確立されていない。

およそ200人が加盟している世界標準時機構労組では、時給の賃上げやタイムカードの導入、ビッグベンのデジタル化などを要求。スト回避に向け先月から代表者同士が交渉を重ねてきたが、「時すでに遅し。時計だけに」(労組関係者)だったという。

すでに一部地域では時報に乱れが出たり、デートに5分遅れる、1時間待ってもカップ麺が出来上がらない、定時後も無給で仕事を続けさせられるといった影響が報告されている。緊急事態に備え、国連では常任理事国を招集。事態の推移を見守るとしている。