「黒いサンタ」に頭を悩ます
クリスマスを前に、フィンランドの「世界サンタクロース協会(本部:ヘルシンキ)」が、ある問題に関して奔走している。
会長のルドゥフ・カナネン・サンタクロース氏(年齢非公開)はこう語る。「実は、日本支部からの緊急連絡がありました。なんと、日本のテレビ番組で『黒いサンタ』の存在が暴露されたというのです」。
会 長の説明によると23日、協会の日本支部から緊急連絡が入った。「トリビアの泉というテレビ番組で、現代の子供たちには極秘扱いだった『黒いサンタ』が 紹介され、一般家庭に認知されてしまった」というものであり、この対応- 記憶の浄化作業 -に追われているというのだ。
日本で放送され た「トリビアの泉」は、視聴者から寄せられた雑学知識を紹介する人気番組で、黒いサンタに関して放送されたのは22日。黒いサンタの活動などを詳細に紹介したと言う。サンタの芸能活動のマネジメントも一括して担当する協会へは、事前に連絡などは入っていないという。
“悪い子供に罰を与える”という黒いサンタは、長年、協会が世界中の子供に対しては漏らさない情報だった。ヨーロッパでは一部で知られていたが「我々の努力の甲斐あって」(協会理事)、アジア諸国では常識化せずに止まっていた。
「黒 いサンタは、我々赤いサンタからすれば、なるべくタブーにしておきたかったのです。子供たちに、余計な心配は与えたくありませんからね。イメージダウンに も繋がります」と、影響を心配する。黒いサンタは、1856年に赤いサンタとのクリスマス帯同を停止。別の団体を設立し、事実上「独立」した。それ以来、 お互い親交などは無いという。
一方で「暴露」された側の「黒いサンタ協会」は、赤いサンタと同じヘルシンキに本部を置いていた。しかし、近年は出番の激減により、3年前から活動は停止。一連の動きに対してコメントは出していない。
「トリビアの泉」を放送したフジテレビは、「別の赤いサンタの団体には許可を取った。特に問題は無いと判断したので、困惑している。担当者が外出しているので、詳しくは説明できない」としている。
日本の子供たち数千万に知られたかもしれないということから、協会は「記憶の浄化作業」に奔走。「クリスマス本番を控えているが、既に疲労困憊」(協会幹部)という。アジア諸国への情報伝播も懸念されている。
25日まで後1日。サンタの高齢化が問題視されている中で、今回の騒動による本番でのスタミナ切れが心配だ。