珍現象…ポルトガルで藻?が異常発生の怪
大西洋に面するポルトガルのリスボン・ナカトリャ地区で、奇妙な出来事が起こっている。その件について、第一発見者で、当事者の一人である漁師のカネロ・ペロッティノさん(53)はこう語る。
「朝起きて、市場へ行こうとしたんだ。そしたら車がこの様さ。思わずもう一度顔を洗いに行ってしまったよ」。なんと、前日はまったく正常だったペロッティノさんの車は、不可思議な「緑色の植物みたいなもの」でびっしりと覆われていた。
そして、驚いたペロッティノさんが辺りを見回すと、なんと自宅の玄関、門、家庭菜園に至るまで全てがこの「緑の~」で覆われていたと言う。その後、すぐさま近所の家を訪れると、こちらも同じ状況であった。緑に覆われた草木は枯れ、よく見れば車は錆び始めていたとのこと。
ペロッティノさんはこの異常事態に、緑で薄気味悪く覆われたままの車を走らせてリスボン市役所へ向かった。「”緑の惨状”を説明すると、市役所の職員は俺がおかしいと思ったろうな。でも、これは俺がやったんじゃないこと、俺の地区はみんなそうだってことを言ってやって納得したよ。それにしても不思議さ。50年生きて来て、初めて気になることさ」。
この報せで、リスボン市民衛生課は状況調査団を結成。10日に行われた調査の結果、なんとナカトリャ地区全2981世帯のうち581世帯でこの事例が報告されたのだった。
調査総長のディエゴ・マーカス博士(63)はこの物質を採取、精密な調査の結果「恐ろしいことに、おれは海洋性の植物、恐らく藻の胞子が増殖したものである」と 結論付けた。博士の説によると、「普段は海中で成長する藻が、何らかの理由で胞子を出す能力を得て、それが現在の偏西風の影響で飛ばされた結果、海に面したナカトリャ地区に定着したと見られる。世界中でこのような事例は初ではないか」とのこと。現に、ナカトリャ地区は広く海に面し、漁師町として知られている。
また、「毒性や、異常に早い成長スピードについては未だ不明だが、植物が枯れたり錆びたと言う報告からしても、健康にはよくないだろう。なるべく触れないようにしていただきたい」と警告を発した。今後はイギリスのハバカリヤ・ブロードストーン大学でさらに精密な調査が行われる予定だと言う。胞子は0.01mmだそうで、吸引した場合の影響などは不明。「新種かもしれない。同時に、脅威かもしれない」(同博士)。
同課は、調査の後、緊急対策本部を設立し、藻が弱いとされる「高温での駆除」に乗り出した。また、海上には未だ胞子がある可能性が高いとして、ナカトリャ地区住民に「漁・遊泳等の延期」、また万一胞子を吸引した場合に備え「マスク着用」を呼びかけている。リスボン市長のジョン・ロイス氏(59)によると、「健康への影響を考慮し、場合によっては、ナカトリャ地区の全員他区非難も検討して」いる。
しかし、市民は不安を隠せない。「市民には状況の説明が無いわ。今日の朝は海で獲れた魚を食べちゃったわよ」と主婦オーラン・メディさん(28)は語り、会社員マーク・レイカルロさん(32)は「僕はナカトリャ地区の隣の地区なんだ。大丈夫かな。まったく市から説明が無いね。そう言えば朝、子供たちがあの緑のを素手で触って遊んでたけど…」。
市は「この事態にわからないことは多い。情報を与えてもらいたい」とし、また不安を抱える市民のために「無料相談会」を設けた。市は、この事態を「ナカトリャの緑軍団」と名づけた。市民は姿の見えない謎の「緑軍団」に怯える毎日が続きそうだ。