話題の本 「学会の一石さん」 他
「学会の一石さん」 アルバート・一石 3000円 幼冬舎
<あらすじ>
ドイツ生まれという学者が、来日した。一石と名乗る男は、都内の大学の生協に就職し、学生からの質問に難解な回答をしていく。正体は? 何のために難解な回答を? 謎が深まる中、事件、そして結末は—。日本中が感動した、ヒューマンドラマの真髄。ドイシ物理学会推薦。
<批評>
年末にこの本を買うくらいなら、年末ジャンボ宝くじを買いましょう。3000円で買った宝くじで一億円当たる確率の方が、この本を読んでためになる確率よりも数百倍高いです。年末でなくても、グリーンにオータムにドリームといろいろありますし。と前置きした上で書きます。
一石というのは、(お気づきの方も多いと思いますがが)ドイツ生まれの物理学者、アルバート・アインシュタインです。と言うのは嘘で、アインシュタインに憧れる日本人です。アインシュタインは一つの石という意味なのだそうですが、そこから一石というのは随分と直接的です。
さて、この一石さん。こんな回答をしてくれます。
Q.缶詰を販売しないのですか。
A.これは、缶詰がなぜ米国の南北戦争で投入されたか、という回答からはじめる必要があるようです。1804年にフランスのニコラ・アペールがナポレオン・ボナパ…(破られて判読不能)
Q.僕には友達がいません。
A.ユングにおける近代心理学の発展は、分析の重要性を…(燃やされて判読不能)
Q.相対性理論ってなんですか。
A.君は教えてもわかりません。
こんな調子で500ページ続きます。正体も、難解な理由も明らかになりません。それ以前に、事件が起こりません。今年はアインシュタインの相対性理論発表から100周年とあって、たくさんの関連本が出版されました。この本はいろいろな意味でダントツです。ドイシ物理学会推薦ですが、ドイツではなくドイシですから、程度が知れています。ここまで読んだあなたなら、宝くじを買いましょう。
本当は他の本も紹介したいのですが、学会の一石さんのせいで紙面が足りません。それが、この本を読んだ結果ということです。
幼冬舎は、あらすじを読んだほうが面白い本ばかりです。これからは、今まであらすじを書いてきた人が本を書くそうなので、次に期待しましょう。