ヒトのiPS細胞から牛の肝臓作成、生レバー解禁に光


画像=iPS細胞の開設

画像=iPS細胞の解説

京都大学は2日、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を由来とする牛の肝臓の作成に成功したことを明らかにした。技術の特性上、無菌肝臓の作成が可能 で、今年6月末までで食用提供が禁止された生レバー解禁に光が差した。今月発売の科学雑誌「ディスカバリー増刊号」に掲載される。

作成に成功したのは、京都大学食品衛生学科の木村教授の研究グループ。主に再生医療の分野で研究が進められてきた「ヒトiPS細胞」に着目し、5年前に研究を開始した。

研究では、牛の受精卵にヒトのiPS細胞から分化させた肝臓の前駆細胞を移植。肝臓の形が視認できる大きさまで成長した段階で取り出し、特殊な培養液で満たした試験管に投入。肝臓のみを育成していった。本来、ヒトの細胞を動物に移植することは禁止されているが、食利用に関しては明文化されていないという。その結果、菌に侵されやすい牛のレバーとは異なる性質を持った「新しい牛レバー」(木村教授・談)が誕生した。

研究グループは今後、更に技術改良を進める予定。安定的なレバーの生産が可能になれば、食用として本格流通を目指す。アフリカなど食料不足が深刻な地域での無償提供も視野に入れているという。また、既に「ハツ」や「コブクロ」など全種類のホルモン作成に着手していることも明かした。

牛の生レバー解禁に関しては先月、大阪物理大学の研究グループが「2.5シーベルトの放射線を20時間にわたって照射」することで完全に滅菌できることを発表したばかり。新たな研究分野として各界から注目を浴びている。